体験談

【体験談・起業】香港でヘルパー紹介所を立ち上げたダウド由紀さん

日本と香港は同じアジアの国ですが、働く女性を取り巻く社会の環境は全く異なります。

香港はアジアの中でも女性の社会進出率はトップクラス。
また、女性役員の比率は2016年度で12.4%であることが報告されており、香港政府は将来的には35%までにすることを目標と掲げています。(参考:香港BS
対する日本はなんと3.4%。最近は1月に発表された子連れ出勤が問題にもなりましたが、日本では女性の社会進出を後押ししているようで、実はまだまだ家事、育児は女性が担うものと決めている社会環境が根強く残っています。

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香港が女性の社会進出を可能にした背景には、ヘルパーによる家事代行が一般化している社会環境にあります。

家事や、子育てを助けてくれるヘルパーの存在は、現在香港では重要ですが、日本では馴染みがないため、ヘルパーを選考し、雇うまでのプロセスは時間がかかり、困難や問題がつきまとうことも。

今日ご紹介するのは、香港にて日本人向けヘルパー紹介所を立ち上げたダウド由紀さん。

由紀さんはご自身がヘルパーを雇うまでに経験したストレスや、問題点を生かし、香港に住む日本人家庭のニーズにあったヘルパーを紹介する事業を展開しています。

今回は、由紀さんに、香港のヘルパー事情、またこの事業を立ち上げた経緯などについてお話しを伺いました。

氏名 ダウド 由紀さん
香港在住 5年
起業会社名 MEET THE HELPHP:www.meetthehelp.com.hk
事業内容 ヘルパー紹介に特化した人材紹介業

由紀さんのバッググラウンド。香港への移住まで。

日本の高校卒業後、アメリカの大学に進学しました。
卒業後は日本に戻り、E-コマースのマーケティングに関わったあと、外資系金融情報会社に就職。
そこで金融企業のクライアントにアプリケーションシステム導入時の調整などを担当していましたが、2014年から夫の転勤に同行し、香港に移住しました。

ヘルパーと呼ばれるシステムについて教えてください。

香港では「Domestic Helper」ドメスティック・ヘルパー(通称ヘルパー)と呼ばれる家事・育児・介護などのサポートをしてくれる外国人家事労働者を雇っている家庭が多く、その割合は子供がいる家庭の約3分の1とも言われています。

政府が1970年代から開始した政策で、女性を家事から解放し夫婦のダブルインカムを可能にしたことで香港経済はさらに発展した背景があります。

また、香港の労働人口390万人のうちドメスティックヘルパーとして香港に滞在している人の人口は3万9000人(2019年2月時)。国の労働人口の10パーセントになるほどなんです。

ヘルパーはどこの国の方が多いのでしょうか。

ヘルパーとして働いているのは、ほとんどがフィリピンやインドネシアからドメスティックヘルパービザで来ている人です。

フィリピン人が約54%(21万3000人)、インドネシア人が42%(16万7000人)、その他4%と言われています。

子連れで外出するのが大変な香港の街

香港は日本に比べると、子供を連れて気軽に出れる環境が整っていないのが現状です。
例えば街も坂が多く、道が整っていないことや、エレベーターがなく階段のみのお店も多くベビーカーで移動するのも一苦労。また、狭い道にも関わらず歩行者の配慮が全くない運転をする人が多かったり。
サービス面でいうと、日本のネット通販のような次の日に欲しい日用品全般が届くようなサービスがないことや、0歳から預けられる保育園もありません。

そう考えると、街や行政の環境は日本のほうが整っています。
日本に住んでいた時にできていたことが、香港では難しいこともありヘルパーを雇う決断をする家族が多いです。

この事業を立ち上げようと思ったきっかけは?

私自身一度ヘルパー採用に失敗しており、その経験を生かして同じような悩みを持つ方にサービスを提供できると思ったからです。
最初ヘルパーを面接した時は、子供がまだ一番手がかかる時期で、子供の世話や家事をしながら約100人のヘルパーに連絡し、面接をしました。
毎晩遅くまでの作業で、まるで仕事のようでした。
私の性格、そして過去の失敗もあったため、妥協ができない。(笑)
また、良く起こるトラブルが採用した後に、やはり合わなくてすぐ解雇するケース、またはヘルパーのほうから急に辞めるケースも多いんです。
失敗を経験して、これらの最悪パターンを避ける為には面接の段階で手間がかかってもじっくり審査をし、冷静な判断をする必要があると感じました。
ただ、一人で全ての過程を行おうと思うと、時間もかかるし、負担も大きい。
私のように感じている人も多いのでは?と思い、信用できる採用を任せられるサービスがあったらいいなと思ったのが起業のきっかけです。

他人が家に入り込むのが怖いという声も

香港にいる日本人家庭の方は、雇わない選択をする方も多くいらっしゃいます。
特に日本人は家庭に他人を入れることに抵抗がありますよね。もともとそういった文化もないし、ヘルパーとして来ている方は外国人なので余計に。
ですが、前述したように香港の生活は、ヘルパーありきを前提とした環境が多いのが現実。近くに頼れる家族もいない中、彼女たちのヘルプがどれだけ必要かは住んでみて痛感しました。

日本人の強みを生かしたサービスを提供

香港にヘルパーエージェントは沢山あるのですが、自社に登録済みの人と会う場所を提供し、個人情報を交換されないためにエージェント同席で一気に何十人も面接をするスタイルが一般的です。
エージェント事務所でしかヘルパーと会うことができないので、クライアントは事務所に行く手間、そしてへルパーは基本日曜日がお休みのため、貴重な週末の時間を割く必要があります。
1日20人ほど面接することもあり、最終的に自分の判断基準がわからなくなった。いう方も多くいらっしゃいます。

筆者もその一人。20人くらい一気に面接しましたよ・・

紹介されるヘルパーが、日本人独特の価値観や性格に合うかは全く無視して通常の香港のエージェントは紹介してくる傾向にあります。
私たちはお客様からヘルパーに求める人材の希望をヒアリング後、お客様の希望や要望に一番近い人材をこちらでスクリーニング・面接をした後、厳選した人材のみ紹介しその中で選んで頂くというサービスを提供しています。
それにより、自分で雇う際の選考プロセス、例えば希望の人を見つけるまでに行うレジュメ確認作業、メールや電話で連絡を取り合ったり、貴重な週末を使って面接するストレスが多いプロセスを削減することができます。
また、自宅で子供との相性も見つつの面接や、時間にルーズではないかなども確認できるので、判断材料が多い中で決断することが可能です。
私も日本人なので、日本人がヘルパーを選ぶ際に、どういったポイントを重要視し、どのような性格の方を好むのか傾向がわかります。
香港エージェントにはない、きめ細やかな日本人向けのサービスを提供しています。

利用者の声はこちらに掲載しておりますので、ご覧ください。

お仕事のやりがいを教えてください。

何度も採用を失敗している方や、良い雇用主を見つけたいと思っていたヘルパーの双方から満足いく環境になりました!とフィードバックを頂けること。
また、最近口コミから日本人だけでなくフランス人やアメリカ人からも依頼を頂くことが増えてきました。
お互いの希望や要望を事前にしっかりとヒアリングしていることや、今まで約1000人のヘルパーと面接してきた経験から良いマッチができる成功率が高い。
そこが強みだと思っています。

今後の展開を教えてください。

現在準備中なのは、事前にヘルパーと雇用主の方に渡す資料作りです。
日本人の生活環境や、特性、性格などについての説明や、チェックリスト、スケジュール等など。
事前に理解できればお仕事を開始してからのミスコミュニケーションを未然に防ぎスムーズに業務に入れるかなと。
また、他の企業とタイアップをして和食のクッキングレッスンや、簡単な日本語のレッスン、ヘルパー向けファイナンス講座なども計画していきたいと思っています。

最後にメッセージをお願いします。

初めて香港に来て、子供とコミュニケーションを全く取らないヘルパーさんを見て、信用できないから自分でがんばるしかない。と思ったことはありませんか?
少し多くお給料を払っても、いい人が見つかってその方に心が通じるようなコミュニケーションを子供ととってもらった方がずっといい。そう共感して頂ける方、ぜひ一度お話しを伺わせてください。
両親が信頼して子供や家事を任せられる環境作りに少しでも貢献させて頂ければ幸いです。